制御情報工学科の近況
制御情報工学科長 大島 茂
平成14年4月から制御情報工学科の学科主任となり、2年前より学科長という呼び方に変わりましたが、相変わらず私がS科の代表を務めております。今年で5年目となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、ここ数年のS科スタッフの近況を御報告します。平成15年3月末で伏見先生が東京理科大学へ転出され、4月1日から大久保進也先生が助手として新たにS科に加わりました。大久保先生は、平成7年3月に沼津高専の機械工学科を卒業し東京農工大工学部へ編入学、そして大学院工学研究科博士後期課程を平成15年3月に修了し博士(工学)の学位を取得しました。専門は光情報通信工学分野で、光を用いた情報通信に関する研究を進めています。1年生の「計算機入門」および「プログラミング演習」、そして3年生の「電子回路」の講義等を担当しています。
芹澤弘秀先生は、平成17年3月末から10か月間オーストラリアのCSIRO(オーストラリア連邦科学産業研究機構)のICT(情報通信技術)センターで通信用アンテナに関する研究をし、平成18年1月27日に帰国しました。入れ替わるように平成18年3月に、鈴木康人先生がイギリスのリバプール大学へ組込み機器用コンピュータシステム検証理論に関する研究を行うために出かけられ、この10月2日に帰国しました。鈴木康人先生は平成18年4月より講師に昇任しています。
平成18年4月より、柳下福蔵先生が本校副校長(教務主事)になられ、また長谷賢治先生が総合情報センター長に、そして藤尾三紀夫先生が地域共同テクノセンターの副センター長となるなど、学内の重職に就いています。現在S科所属の教員は、柳下、大澤、大島、吉野、長谷、藤尾、佐竹、芹澤、鈴木茂樹、鈴木康人、大久保進也の11名です。なお、大澤先生は来年3月で定年を迎えられる予定です。また、今年度初めより技術室という新しい部署ができ、柿島技術職員はそちらの所属となりましたが、従前どおりS科の演習・実験に深く携わってもらっています。
S科では、平成18年度よりカリキュラムをかなり大きく変更しました。高専の特色であるスキル教育を今まで以上に充実することを目的に従来の1~3年次の制御情報工学演習を「プログラミング演習・、・、・」と「メカトロニクス演習・、・、・」に分離し、授業時間をそれぞれ週4時間で実施するようにしました。教育効果の向上と教育内容の充実を図るため、その他の科目においても授業科目の名称変更や教科目の整理をしました。これと同時に、平成18年度より全国高専に「学修単位科目」というシステムが取り入れられ、S科では4年生の科目で15単位、5年生の科目で17単位分の科目を学修単位科目としました。これは45時間の学修をもって1単位とするもので、大学で行われているものと同じです。講義科目では、2時間の講義プラス1時間の自学自習、あるいは1時間の講義プラス2時間の自学自習の形で運用され、自学自習が必ず要求されます。講義で得る知識は自学自習で予習・復習そして演習課題を自ら解くなどして初めて実際の力として身に付きます。学生時代は、少なくともウィークデイには自宅での学習時間が3~4時間あって当然だと思います。教わるだけでなく、自ら学ぶ姿勢と、自ら問題解決を図ることができる力を身につけることが、社会に出るために非常に大事であることは、OB諸氏は身をもって感じていることかと思います。
さて、学生時代に学外で就業体験することはキャリア教育のためだけでなく、勉学の目標を再確認するためにも大いに意義深いものだと思います。多くの大学・高専と同様、沼津高専でもインターンシップを活発にする方向をとり、S科では今年の夏季休暇中に17名の4年生が15の企業等へ出かけ就業体験をしました。10月13日には第一視聴覚教室でS科独自のインターンシップ報告会を開き、それぞれの就業体験を発表し合いました。実社会での体験により数歩大人に近づいたように感じられます。
沼津高専では平成17年度より外部評価を導入しました。初年度は、沼津市長を初め近隣の企業の方や中学校長等に評価委員を委嘱し、実験・実習・演習科目に対する評価を依頼しました。その中で指摘を受けた重要事項が安全対策の改善でした。学校全体で安全対策及び安全教育の強化を図ることとし、S科では、演習・実習等における安全対策強化の一つとして、1年生から4年生の諸君には全員に安全靴及び作業服上下と帽子を購入させ実験・実習時には着用させることにしました。OB諸氏は充分ご存知のことと思いますが、これからの技術開発のキーワードは“安全”にあります。安全に対して充分に配慮することは技術者の義務である、ということを充分に理解できる技術者に育てるべく、身近なことを通して教えていくことが大切だと考えています。
大企業を中心とした景気回復と団塊世代の大量定年の到来が重なり、卒業予定者に対する就職の求人数が今年度急激に増加し、昨年度は約200社であったのに対し今年度は370社余りから求人がありました。今年度の5年生は就職希望者が多く、43名中26名が就職の内定を得ました。確かに昨年度に比べ求人数は急増していますが、企業はやはり慎重に厳しい目で学生達を選考しています。学生時代に自分が一番力を注いだことは”これだ!“ という”光る“ものを持つ学生を企業は求めています。低学年のうちから努力を重ね、学力のみならず、人柄を磨き心身を鍛えておくことの重要性など、実体験を踏まえたOB諸氏から話を聞かせていただくと、学生達は素直に理解できるようです。例年のように1月にはOBの体験談などを3年生と4年生に聞かせる進路懇談会を計画していますので、是非ご協力をお願いいたします。
最後にホットニュースですが、今年4月にS科を卒業した菊地亜矢子さん((株)東海ソフトウエア)が、10月21日(土)、22日(日)の2日間にわたって香川県高松市で開催された第44回技能五輪全国大会において情報技術職種で敢闘賞を受賞しました。OB諸氏の間でこのような良いニュースがありましたら、どしどし学校に知らせ頂ければうれしく思います。皆様の活躍を大いに期待しております。