退職ご挨拶

元機械工学科 教授 柳田 武彦

 卒業生の皆様にはそれぞれご活躍のことと存じ、お喜び申し上げます。私は、本年3月に定年により退職いたしました。平成8年4月、沼津高専に専攻科が設置された際に赴任し、ちょうど10年間勤務いたしました。

 民間会社の工場、研究所に31年間勤務しておりましたので、そこでの経験、技術を少しでも学生に伝えられればと思って授業や学生指導に当たりました。教え方が下手で思うようには伝えられませんでしたが、講義以外の卒業研究やクラブ活動などの雑談でも何か少しでも伝わってくれればと思い、学生とはできるだけ接触の機会を持つようにしました。民間会社の出身ですので、就職を担当した5年間はとくに会社の内容、仕事についての考え方など、学生とよく話し合いました。

 ここで先輩方にお礼を申し上げておきたいことがあります。就職を担当した際、企業の方との話で卒業生の皆様のご活躍ぶりを伺う機会が多く、そのおかげで不況の時代にあっても就職希望の学生を採用していただけることを大変ありがたく感じておりました。折に触れて、学生には、諸先輩や採用していただいた会社への感謝を忘れないようにと話しておりました。後輩のためにも皆様のますますのご活躍をお願いするしだいです。なお、大学などに進学された先輩方には、最終学歴だけでなく、できるだけ沼津高専出身であることを公にしていただければと思っております。

 もう1件、私はロボコン同好会の顧問をしておりましたが、毎年同窓会より多額のご寄付をいただきました。ここにあらためて御礼申し上げます。沼津高専のロボコンはなかなか全国大会に進めず、ご期待に添えないことが多いのですが、沼津高専ではアイデアからすべて学生だけで取り組んでおり、学生はその点も意識して真剣に取り組んでおります。その努力は認めていただければと思います。

 ところで、私の勤務しておりました10年間に学校の状況は著しく変化しました。専攻科の設置、JABEE認定、独立行政法人化、外部点検など各種の点検・評価・審査を受け、教員がその対応に追われることが多くなり、さらに校費削減、人員削減などかなり厳しい状況になっております。もちろん学校で対処することではありますが、会社などでもできること(共同・委託研究、インターンシップ受け入れ、学生の採用など)についてできるだけ先輩諸氏のご配慮をいただければと思います。

 さて、私自身は今、仕事を離れて時間ができましたので、これまで関心のあった自然・環境保護の問題に、反省の気持ちを込めて関わって行きたいと思っております。といいますのは、私の携わってきた熱工学の分野は、オゾン層の破壊、酸性雨、地球温暖化など多くの環境問題に関係があります。目先だけを見て進められてきた技術の発展は人間を取り巻く環境に多くの課題を残しています。技術者の皆様には今後こうした環境問題に対処していただかなくてはなりませんし、これからの技術開発は地球規模の環境問題を引き起こす可能性まで考えて進めていただきたいと思います。

 末筆ながら、沼津高専ならびに同窓会のますますのご発展と会員各位のご健勝、ご活躍を祈念してご挨拶といたします。

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