沼津高専に感謝

元電子制御工学科 教授 小林 幸也

 沼津高専同窓会の皆様、元気でご活躍のことと思います。私は、約30年間の企業生活から沼津高専電子制御工学科(D科)に8年3ヶ月の間、常勤として勤務させていただきました。平成16年度より非常勤として横浜から新幹線で通勤しております。

 企業時代は、高専の卒業生とも多くの仕事をしました。仕事振りはいずれの職場においても着実に成果を上げ総じて誠実で謙虚でした。大学生が学生運動をしているとき、高専OBは必死に働いてくれました。求人のため全国の多くの高専を学校訪問しました。そのときは、どの高専も立地や造りや内容が似ていると感じたものです。

 沼津高専に赴任して最初に感じたことは学生の目が輝いていることでした。マナーも良く授業も楽しく出来ました。5年の担任のときには、編入学希望学生の推薦状を夜遅くまで肩が疲れて上がらなくなるまで書き続け新幹線の最終でやっと帰宅できたことを懐かしく思い出します。当時の学生は東大初め旧帝大に多く進学していきました。学科の先生方も皆熱心で活気がありました。最近の学生の目の輝きが少し鈍くなってきているのが気がかりです。

7年間就職担当として学生の就職指導には特に力を入れたつもりです。企業の人事担当時の経験を逆の立場で生かすことが出来たとおもいます。学生は、ほとんど毎年志望する企業へ就職していきました。けれども、業界や企業の真の情報が、的確に望みの学生に届きにくいことを痛感しました。また、特に、家庭において学生と父親とのコミニケーション(助言やサポート)が必要だと思いました。就職希望学生との事前面接を1対1で生々しく行ったことも昨日のことのようです。

 沼津高専もJABEE認定校になり卒業生を送り出すようになりました。OBの皆様には母校のHPをご覧になってその変化を見ていただきたいと思います。賛同し支援してきた者として今後の継続的活動の成果を期待し楽しみにしています。

 一番辛い思い出は、主任のときに学科の優秀な学生がキャンパス沿いの国道246号の交差点で交通事故で死亡したことです。一人息子を亡くした母親の姿が今も忘れられません。残念ですが、未だJR御殿場線の踏み切り近くの通学路は悪いままです。創立以来の懸案事項だそうですが・・・・・。

 高専にも少子化の影響がひしひしと押し寄せています。所謂「人、物、金」が厳しく変化しているようです。しかし、変化はチャンスでもあります。実践的な日本の高専教育は外国からも高く評価されています。より良い工学教育の場を学生に提供し続けられるように大いに期待する者です。

 非常勤になると、時間に余裕があります。企業を含め各方面の研究所を、機会を捉えて回るように心がけています。また、講義の準備が十分に出来るのが楽しみです。

縁あって沼津高専にお世話になり学生とともに楽しく学ぶ機会を与えていただいたことに深く感謝しております。

 卒業生の皆様が健康で活躍し続けることを祈念しております。

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