制御情報工学科の近況

制御情報工学科長 大島 茂

 今年度(平成20年度)で制御情報工学科学科長(学科主任3年間を含め)を7年間務めています。来年度は長谷先生にバトンタッチする予定となっています。
2年前にも本会誌に近況報告を書いていますので、ここでは主にそれ以降の制御情報工学科(S科)の変化につきご報告します。まず、S科スタッフの近況についてですが、大澤和夫先生が平成19年3月で定年退職されました。昭和40年4月1日(1965年)に着任され、42年間勤続されました。平成4年4月にS科がスタートした時からM科よりS科に移籍し新学科の立ち上げに貢献されました。長く自動車部顧問をされていましたので、一緒にエコランで茨城県まで遠征した思い出のあるOBもいるのではないでしょうか。同じく平成19年3月に佐竹利文先生が故郷の旭川高専へ制御情報工学科教授として転籍しました。平成9年4月1日(1997年)に沼津高専S科に着任され、10年間勤続されました。3年生のクラス担任や野球部、女子バスケットボール部の顧問を長年務めましたので、お世話になったOB諸氏も多いのではないでしょうか。
佐竹先生の後任として、平成19年4月より宮下真信先生が准教授としてS科に採用されました。専門分野は認知科学と呼ばれる分野で、理化学研究所の脳科学総合研究センターで視覚神経回路モデル研究チームの研究員として、脳の神経系における認知メカニズムをコンピュータでシミュレーションする研究を続けて来られました。物理、数学等の基礎工学科目と専門科目の関連を体系的に整理して学生にわかり易く教えることに力を注いでくれています。今年度は3年生のクラス担任を務め、きめ細かい学生指導などいろいろな形でS科に新風を吹き込んでくれています。もう1名の教員ポストは適任者が見つからずしばらく空席のままでしたが、平成21年4月1日付けで採用できる目途がつきました。具体的には次回の報告の中でお知らせしたいと思います。
今年度の大きな変化として、すでにご承知のことと思いますが、前校長が前職場での事件により、昨年度末に校長職を解任されるという前代未聞の事態が生じ、副校長(教務主事)の柳下福藏先生が校長事務代理をしばらく務めた後5月12日付けで本校校長に就任しました。そのため柳下先生の担当科目を引継ぐことができる後任教授を急いで採用する手続きを進め、9月1日付けで相良誠先生をS科教授として採用することができました。相良先生は昭和48年(1973年)より35年5か月の期間にわたり東芝機械(株)で加工機械の設計等の仕事に従事され、加工技術及び機械振動に関して豊富な知識と技術をお持ちの方です。東京大学工学部精密機械科の非常勤講師を正味12年間務めるなど教育の経験も豊富で、後期より3年生の「加工学」、「工作実習」、5年生の「振動工学」、「工学実験」、専攻科の「振動制御工学」等を担当しています。ヨットや囲碁など幅広い趣味をお持ちのバイタリティ溢れる先生です。
 このような大きな変化の波を乗り越え、S科の状況はようやく安定した状態に戻りつつあります。現在S科所属の教員は、相良、大島、吉野、長谷、藤尾、鈴木茂樹、宮下、芹澤、鈴木康人、大久保進也の10名で、来年4月1日から新任の先生を含め11名体制となります。技術室所属の柿島技術職員は今年3月に定年を迎えましたが、再雇用により週3回半日ずつS科の演習・実験の支援をしています。
さて、学生時代に学外で就業体験することはキャリア教育のためだけでなく、勉学の目標を再確認するためにも大いに有意義なものです。多くの大学・高専と同様、沼津高専でもインターンシップを活発にする方向をとり、S科では今年の夏季休暇中に16名の4年生が企業へ出かけ就業体験をしました。また、例年のように1月には5名ほどのOBに来校いただき、就職・進学活動時や卒業後の体験談などを3、4年生に聞かせる進路懇談会を計画しています。それ以外に、今年度は特別な予算を獲得して学校全体の試みとして、ものづくり入門講座からマーケッティング・ 経営・知財教育までを、企業技術者の協力を得て学生達に体系的に学ばせることをねらった「ものづくりステップアップ実践プログラム」という教育プログラムを実行しています。その一環で、S科では主に2年生を対象に、地元企業の技術者にご協力いただき、ものづくり技術のおもしろさやものづくり技術者の仕事とやりがい等、さらにはものづくりの現場における先端技術などに関する話を学生に聞かせる授業を後期に展開しています。S科のOBではありませんが、数名の沼津高専OBにもお世話になっています。このような機会を通して、今後OBのご協力を仰ぐ機会はますます増えていくものと思います。よろしくご協力下さるようお願いいたします。
平成9年3月に第1期の卒業生を送り出して以来、平成20年3月の第12期生まで480余名の卒業生をS科から送り出して来ました。それぞれの職場で中堅として責任ある立場で活躍している人達が徐々に増えてきています。そこで全卒業生の現況を調査・把握し、率直なご意見を聞かせていただくことで、制御情報工学科の教育内容に関し今後の在り方を検討するための基礎資料とすべくアンケート調査をすることにしました。「S科卒業生の現況調査と創造設計に関するアンケートへの協力依頼」を10月初旬にS科全卒業生に郵送させて頂きました。Web上で回答頂く方式で、平成21年1月10日までを回答期間としています。すでに多くのOBに回答頂き、感謝しています。一方、残念ながら配達先住所不明で60通余りが戻ってきています。このアンケート依頼が届かなかったOBの方は、現在の住所や近況などをお知らせ頂ければ嬉しく思います。その他OB諸氏の間で耳よりのニュースがありましたら、是非お知らせ下さい。
 最後となりますが、皆様のますますのご健勝とご発展をお祈り申し上げます。

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